広島原爆の日に寄せて

アメリカのオバマ大統領が核軍縮に意欲を見せている。これは何を意味するか。

核兵器というのはすべてを塗り替えるワイルドカードだ。事実上、普通の理性の持ち主にはこれを使うことはできない。アメリカは勿論、NPTで核保有が認められる各国はこれを使えない。NPTで認められてないインド、パキスタンイスラエルも同様だ。従来から核を保有している国家は核を使えない。

核兵器を使うのはどういう国か、或いはどういう勢力か。世界はイランや北朝鮮核兵器保有することを恐れている。彼らなら或いは使うかもしれない。また、テロ組織に渡ることも恐れている。彼らもそれを手にしたら実際に使用する可能性は高い。

今まで核を持っていた側は核を使えないのだからその優位性はだんだんと揺らいでくる。核を持っている優位性よりも核が拡散する危険性の方が高いのだ。だから核保有国の筆頭であるアメリカは戦略的に核を減らすのが正しい方策ということになる。

核廃絶になったらアメリカの軍事的優位性はより一層揺るぎないものとなる。ハイテクを駆使した通常兵器は核兵器というワイルドカードが無くなったら他国の追随を許さないだろう。

平和を希求する声は一切無視され核は拡散し、その声とは無関係に核が拡散した同じ推力を用いて核は収束へ向かうのかもしれない。

核が収束に向かおうとした機運が高まりつつあると広島長崎の存在は逆の意味で象徴的に扱いうる。平和の使者の顔をして、また本人もそのつもりで国連事務総長や在日アメリカ大使が広島を訪う。これは核拡散の時代に実現すれば意味があったのかもしれないけど、今は体良く利用されているだけのようにも感じる。

それでもやっぱり、俺は核兵器が地球上から消え去ることを望む。