もっとも身近で大きな危機。北朝鮮。

北朝鮮が我々にとって危機ではない。北朝鮮の人たちが危機なのだ。あいつら南アフリカでサッカーなんてやってる場合じゃない。

平壌市が縮んだ 3分の1カット、食糧難で口減らしか

【ソウル=牧野愛博】北朝鮮の首都、平壌市の行政区域の面積が最近、3分の2以下に縮小した。ラヂオプレスによると、平壌放送などが今月、平壌市に属していた江南、中和、祥原の3郡と勝湖区域を黄海北道の行政区として紹介した。韓国の人権団体などから食糧難による「口減らし」との見方が出ている。

公称人口約2300万人の北朝鮮で、平壌には200万〜250万人が住み、「外国向けのショーウインドー都市」とも言われる。朝鮮労働党幹部ら社会高位層が住み、食糧配給なども他の地域より優遇されている。

韓国で北朝鮮への人道支援運動を展開する団体「良き隣人たち」は12日、ホームページで「食糧難に伴う決定」とする朝鮮労働党幹部の言葉を伝えた。北朝鮮関係筋も「食糧やインフラ整備などの負担を軽くする目的があるかもしれない」と語った。

韓国政府は今年、北朝鮮で約130万トンの食糧が不足するとみている。

130万トンって食料はどのくらいの量なのかピンと来ないので計算してみる。

食糧問題|環境問題を知ろう|環境情報|環境と平和のNPO法人 ネットワーク『地球村』

上記サイトによると一人年間180キロの穀物ってのが標準量らしい。年間180キロって言われてもまたピンと来ない。180キロ / 365日 = 0.49 となる。米500gだ。米って一合160gだから500 / 160 = 3.12合。米の一合あたりのカロリーは570キロカロリーらしいので500g / 160 * 570kcal = 1781kcalになる。途中端数は丸めてるけどこんなもんだろう。年間180kgの穀物というのは随分質素な食事だ。

この130万トンの食料を180kgで頭割りにすると722万人となる。722万人分の食料が足りないのだ。党や軍の上層部は贅沢してるだろうから実際にはもっと多くの人が苦しんでる筈だ。北朝鮮の人口は2300万人ぐらいなので1/3の人が対象となる。

人間はわりと逞しい生き物なので722万人が座して餓死しているわけでもなく何らかの方法で飢えを凌いでいるのだろうけど。それにしても数万人から数十万人規模で餓死者が出ているのだと思う。
この危機はチベットの中国による迫害より規模が大きいしダルフール危機よりずっと身近だ。日本が近隣国としてコミットしやすい問題なのだ。

北朝鮮の食糧難は今に始まったことではなくここ数年、100万トン程度足りないって話は毎年のように聞くし、1990年頃はもっと厳しかったに違いない。

こう書くと酷いのは北朝鮮金正日であの国がああなのだから近隣諸国は放置するしか無いって意見が大半だろう。けど、俺はそうは思わない。

北朝鮮があれだけ無法をしても崩壊しないのは近隣諸国にとって北朝鮮という国家が存在したほうが都合が良いからだ。韓国は北朝鮮を併合する体力は無い。東ドイツの併合で苦しんだドイツの轍を踏もうとはしない。中国は併合する体力がありそうだ。けど併合したら今度は朝鮮民族アイデンティティを主張する。既にチベットウイグルを抱えている中国はこれ以上の火種を持ちたくないのではないだろうか。

ということで近隣諸国の損得勘定で今も北朝鮮の人は飢えている。これを放置している東アジアの国々は日本も含め戦争行為に近い罪を重ねているのかもしれないと思うのだ。

とは言え北朝鮮の主権を軍事行為などで安易に剥奪してもいいのかっていうとこれまた微妙。どうすりゃ良いのかは本当に難しい。

一案として。平壌近郊に護衛機を伴ったヘリコプターで強制的に物資を送り込む。ビラを撒いたり拡声器でアナウンスしたりして人道目的で人々に食料等を支給しますと伝える。政府に物資を渡しても庶民にまで行き渡らない懸念も伝える。北朝鮮国民の政府に対する不満が一気に募り北朝鮮の人々が民主的な政府を作る契機とならないだろうか。