けいおん!の功罪について

以降、「けいおん!」がロックであるという前提に基づく。

ロックなんてのは9割が女にモテない男が女にモテるために始めるわけだ。軽音部の部室なんてのは、むっさい男の巣窟であり鬱屈した欲望が渦巻いている場所だ。決してあのアニメに書かれているような場所ではない。

そういう負のベクトルを持ってるからこそロックは力を持ち得たとも言えるし、いつまで経ってもマイノリティであり続けるって側面を持つ。勿論、ロックを聴くというのは充分に市民権を得てる行為なのだがそれを演奏するってのはやっぱり長いことマイノリティだった。

モテない男が女性の注目を集めるために始める行為というのは今ではロックよりお笑いの方が多いのかも知れない。その分、ロックが担う役割は半減ぐらいはしているだろう。そんな、イカ臭い男の聖域が空白になったところに女の子が乗り込んできたのが「けいおん!」だと俺は思ってる。

けいおん!によってロックを演るって事のマイノリティさは軽減したかも知れないが、ある種の闇、魅力的であった闇に光が当たってしまったことは俺にとっては忌むべき事態だ。それはロックが昔持っていた力を失い別の物に変遷してしまったって事なのだ。ロックがお茶やお花やピアノの稽古ぐらいの嗜みに変わってしまったのである。