リーマン破綻についての感想とか疑問とか

破綻目前、サブプライムの猶予は3カ月

サブプライムローンの総額は日本円にして170兆〜180兆円、そのうち返済が滞っているのは30兆円といわれている。実に16パーセントあまりが焦げ付いている計算だ。焦眉の急で解決にあたるべき問題と思うが、しかしわたしが見るに米国は危機感が足りないように感じる。

詳細はリンク先の続きを読んでもらうとしてサブプライムローンの総額が170兆円で焦げ付いてるのが30兆ってのが事実その一。

伝えられているとおり負債総額が64兆円ってのが事実その二。64兆円サブプラでやられたってのは間違い。サブプラがあってもなくても負債はある。それがサブプラでふくれあがったってだけ。

この焦げ付き分でどれだけリーマンがかぶらければならなかったのかってのはよくわからない。多めに見積もって10〜20兆ぐらいか。

んで、負債と言えば資産を見なければならない。
リーマン・ブラザーズ - Wikipedia

総資産 6,910億63百万ドル(2007年11月30日現在)

ここでは去年年末で72兆以上の資産がある。だから資産-負債の負債超過分というのはもっと小さい金額だと言う事だ。それがいくらなのかってのは確かに見積もりしづらいだろう。資産の中に自社株とかあったらそれは差損が出ているだろうし。んで、負債総額ばっかりセンセーショナルに報道されているけどこういう時ってなんで負債ばっかり言うんだろうか。特に今回は金融縮小に向かう大事なきっかけなのでそういう冷静な報道も必要だ。

リーマンの破綻はほんのちょっとしたボタンの掛け違いなのかな。一方で資産と負債を普通に眺めれば何とか救済可能なんじゃないのって疑問も普通に頭をもたげる。報道されていない隠れリスクがあるのではと勘ぐりたくなる。大統領選挙を睨んでの配慮って事もあるんだろうけど。

一応、サブプライムローンの出鱈目さもおさらいしておく。

サブプライムローン - Wikipedia

債務者の所得が上昇せず、生活費が上昇して本来であれば返済に行き詰まる状況であっても、住宅価格が上がっている場合には、債務者は住宅価格の値上がり分について、担保余力が拡大することから、その部分を担保に、新たな追加借入を受けることができた(ホームエクイティローン)。これにより破綻を先延ばしするだけでなく、消費を拡大することもできた。

サブプライムが債務者の所得を勘案せず購入した不動産を担保にするというのは一般的な常識だけど価格上昇分を追加担保にして追加融資を行っているとかなんかかなり無茶してるなという印象しかない。これが価格低下局面(上物の評価はガンガン下がるのが当たり前)に突入したら全然成り立たない。勿論、こういう事はみんな判っていて判っているけどやめられないって状況だったんだろう。これが自由経済の落とし穴だ。

金融市場は大小のクラッシュを繰り返しながら均衡方向へ向かうなら良いのだけど、クラッシュが拡大方向に向かうならなんか手を打たなければいけないのでないだろうか。

例えば中央銀行という制度は経済の暴走を防ぐシステムだ。選挙民の付託を受けている政治家は経済が過熱したときにブレーキを踏むことが難しい。だから、中央銀行には独立した権限が与えられている。しかし、決定的な切り札として握っているのは公定歩合だけ。これは当初の権限としては充分だったけど今となっては不十分だ。リスクが高い金融商品についてはその仕組みを中央銀行みたいな組織が監視するような制度じゃないとダメなんじゃないか。

余談その一
リーマンに関して言えば「まだ隠しリスクがあるんじゃないの?」ぐらいなんだけど中国の金融市場なんてどうなんだろうな。なんかもっと大きな爆弾があったりして。

余談その二
サブプラの焦げ付き分が30兆ってのは額面通りに信じてはいない。100兆とかそれ以上とかふくれあがる可能性はあるとは思う。あくまで現時点でって話だ。リーマンが救済不可なのはその辺も含めてってことなのか。

余談その三
ソースが2chレベルなので真偽のほどはアレだけどゴールドマンサックスはサブプラでビタイチ損してないらしい。本当だったら凄い。凄いんだけどこれが当たり前になって欲しい。