柳田失言に見る日本の政治の構造的欠陥

  • 日本政治の意思決定プロセスの鍵を握るのは閣僚だ。法案や予算は概ね官僚が決めて閣僚が是とすると国会に持ち込まれる。
  • 閣僚のメンバーはその政権を支える主要メンバーによって決められる。首相の側近から決められることもあるし政権内の対抗する勢力の首領を据えることもある。側近を入れることにより意思決定をスムーズにすることが出来るし、対抗勢力は政権の結束を保証する役割が課せられる。
  • また、閣僚は政権の顔としての機能も持つ。だから見栄えのいい人気者を入れなければならない。
  • 閣僚とはこのように政権をどう維持するかということを主眼に決められる。だが面倒なことにこれらのメンバーが行政府の各々の官庁の長となるのだ。なのでそれらに責任を負わなければならない。立法府=国会からの責の矢面に立たなければならない。
  • バランスや意思決定を重んじて閣僚を決めなくてはならないのに行政の長としての専門性も要求されてしまう。日本の政治家にそんな都合の良い人材が揃っているはずもない。
  • だから民主がやっても自民がやっても不適切な人材というのはどうしても入り込む。数合わせのためだけとかバランスを取るためだけとか人気を取るためだけとか。
  • 柳田法務大臣は法務に詳しくない人らしい。そして菅直人の側近か。まさに数合わせ人事なのではないか。
  • 法務大臣とは良いですね。二つ覚えときゃ良いんですから。個別の事案についてはお答えを差し控えますと、これが良いんです。 わからなかったらこれを言う。で、後は法と証拠に基づいて適切にやっております。この二つなんです。まあ、何回使ったことか。」
  • 法務のことなんて詳しくない人がいきなりその長になってしまうわけだからこう言いたくなるのは判る。この言葉の裏にあるのは大臣なんてそんなもんだって諦観だろう。柳田氏はそれをあからさまにしてしまったけど半分くらいの大臣の心情ってこんなもんじゃないか。
  • 行政府の長である筈の内閣が力を持ち過ぎている。国会は立法府ではなくて行政府の監視機関に過ぎなくなってる。事実上内閣が行政立法を牛耳っているのだ。三権分立が崩れている。立法は国会がすればいいのだ。
  • 閣僚はややもすると官僚の手先になってしまうこともある。専門性を持ってないから部下の言いなりになるしか無い。だから日本の政治は官僚に牛耳られる。だから、「政治主導」なんて当たり前のことをテーマに据えることをしなくてはならないのだ。
  • 素人考えかも知れないが政治の諸問題は立法府がそれとして機能していないところに起因しているように思えてならない。