八ッ場ダム+温泉+自転車

5連休の初日、自動車に自転車を積んで関越で渋川伊香保まで言ってその近辺に自動車を置いて八ッ場ダム建設予定地を見て、温泉に入って帰ってきた。とても盛りだくさんな一日で書ききれないと思うのだが駆け足で書いてみる。

朝、4時半頃活動開始。家を出たのは5時頃だった。東名で環八まで行って環八を北上して関越道に乗る。横浜市北西部の俺の家から行くとき関越が一番遠い。距離って事じゃなくて高速で乗り継げない。この時間の環八はまさか混むまいって思っていたら混んでた。関越道に乗れたのは七時近かった。

距離的には前橋当たりから八ッ場ダムってコースだと100キロぐらいになって良い感じなのだけど山道中心だし、かねてから痛めている膝の調子も漕いでみないと判んないしって事で軽めのコース設定で渋川からの往復を選択した。

予定では渋川の駅前に車を停めようとしていた。駅前だったら駐車場ぐらいあるだろうし自転車乗り終わってから飯食う場所もあるだろうって算段だ。ところが駅前に駐車場が無くてビックリした。色々な店舗や施設に併設された駐車場はあるのだが純然たる駐車場が全く見つからない。カーナビゲーションで駐車場表示されているところも月極駐車場だったりして。駐車場が無ければファミレスの駐車場を拝借しようと思ってた。ところがその時間だとファミレス閉まってるし空いてるところは駐車場が狭く半日以上停め続けることは随分図々しい感じのところばっかり。って事で小一時間ほど駐車場を探し続けた。結局、道の駅を見つけて停めることが出来たわけだがそこで随分、時間ロスした。漕ぎ始めたのは九時になってしまった。五時に家を出たのにだ。

コースの主体はロマンチック街道とかって名前が付いているのだけどどこがロマンチックかと言えば沿道に鉢植えの花が置いてある事ぐらいか。さほど風光明媚って訳でもない。通るたび思うのだが名前負けしている感がある。自転車で走る道としては道幅が狭く路肩も荒れているところが多いので走りやすくはない。けど、走り飽きてる近隣の道とくらべると新鮮で楽しい。高低差は400mでそこそこあるのだけど、足が元気な往路はあんまり登ってるって感じはしなかった。むしろ、風が強いのが妨げになってると感じた。

吾妻渓谷ってところを過ぎたあたりから八ッ場ダム関連と思われる工事やら表示板やらが増えてくる。吾妻渓谷はちょっとした観光地らしくハイカーが沢山いる。ここでこんなに人が多かったら目指しているちいさな共同浴場は人が多くて入れないかなって思った。

そこからもう少し登ると、もう着いちゃったの?って感じで川原湯温泉に到着した。そこで聖天様露天風呂に入る。川原湯温泉で一番秘湯っぽい佇まいの共同浴場だ。浴場には扉もロッカーもない。靴を抜いて上がると服や荷物を置く簡単な棚と浴槽がある。先客の50代ぐらいのおじさんが一人。こんにちはって声をかける。おじさんは返事しない。蛇口もシャワーもないし椅子もないので立ってかけ湯をしていたらマナー違反だっておじさんに怒られた。あ、そうですか。不慣れなのですみませんって素直に謝ったらそれが良かったのか色々話を聞けた。

以下おじさんとの会話。

  • 最近はマナー知らずの人が沢山来て困る。
  • バイクで数人連れ立ってきて大きな声で話をする。
  • 着衣のまま湯船に手を入れて熱いって文句行ったり、入り口まで来て中を覗いてこんなところ入れないとか。
  • インターネットで誰でもここを探せるようになって変わってしまった。そういう人が来てから古くからの常連は来なくなってしまった。
  • 特に女の人が嫌がってる。昔は5-6人で入っていたら半分は女性だった。
  • (俺もネットで調べて来た一人ですよって言ったら)あなたはちゃんと挨拶したし注意したら素直に従った。ここのルールを知らないかも知れないけど守ろうとしてる。他の人は返事しなかったりするんだよ。
  • こういう場所(共同浴場)があるって事に対して感謝しなくちゃいけない。温泉にも感謝だしそれを維持してくれる人にも感謝。そういう気持ちもってれば自然にマナー守るようになるはずだ。
  • 八ッ場ダムについて。おじさんは地元民というわけではなく、少し離れたところからかなりの頻度で来てるらしい)ダムは結局出来ないんだろうけど、地元の人に言わせれば強引に乗り込んできて50年言われ続けて、その気になったらもう辞めたって言われる。やりきれないよね。
  • この湯に工事の人なんかも来るらしい。トンネル技師みたいな人はダムが中止になったらもう国内に大きな仕事がないって言ってた。この仕事であと数年食えるって思ってた人は当てが外れた。企業も倒産するところが出るだろう。

共同浴場はユルゲン・ハーバマスの言うところの公共圏だなと思った。この場所は開かれた場所で、開かれていながらもそこを知ってるとか知らないとかって意味である程度の敷居があった。その敷居があるうちは開かれ具合が調整されるのでその場の「空気」が維持される。しかし開かれ過ぎちゃうと「空気」は一気に乱される。「空気」は維持されることによって少なくとも和を醸すが、乱され過ぎちゃうと和は壊され多くの場合、何も生まない。開かれたいるからこそ場はダイナミズムを持ち得るんだけどそれも程度次第って事だ。

初期の2chは楽しかったけど今はノイズが多すぎて情報を拾うのに効率が悪い。初期のmixiも楽しかったしいろんな人に出会えたけど今は面白そうな人を捜すのが面倒なくらい人が多くなってしまった。言うまでもなくネット空間は開かれた場所だから、開かれ過ぎちゃうって状態に至るのが早い。共同浴場って場所は他人が人と「裸」で触れ合う場所って意味でネットコミュニティと近いと思った。得てして内輪の馴れ合いになりやすくもある。そこにジレンマがあったか無かったか判んないけどそれがインターネットによる情報の広がりにより一気に壊されつつあるのかも。この辺、色々な見方があると思し、俺は垣間見ただけなので全貌は判らないけど俺が指摘したような一面は間違いなくある筈だ。おじさんの言い分はネットコミュニティに於ける常連が新参者を誹る言い分に近い。それが興味深かった。

聖天様露天風呂ってネーミングも面白いと思った。うっかり見落としたんだけど奥に「聖天様」があったようだ。ここにその聖天様の写真がある。

http://rinta7.hp.infoseek.co.jp/rotenburo/kanto/kawarayu.html

聖天は別名歓喜天(かんぎてん)って呼ばれ一応、仏教に帰依している神って位置付けなんだけどどうもその全身であるヒンドゥー教の影響をそのまま引きずっているのようだ。仏教で言う神(=天)は元々ヒンドゥーの神々なんだけど他の神にくらべるとヒンドゥーを色濃く纏ってる感じがする。頭がガネーシャだし。簡単に言えば歓喜天はセックスの神と言って良いかな。顔は像でも人の形をしている歓喜天が殆どなんだけど聖天様露天風呂の本尊はそのまんまセックスシンボルだ。ここまで露骨な聖天様は珍しいのではないだろうか。

歓喜天 - Google 検索

当たり前なのかも知れないけど自転車の途中に温泉を挟むのはあまりよく無いw。温泉入ると身体がまったりしちゃって力が入らなくなった。入るなら最後が良い。

他にも八ッ場ダム周辺工事の現場とか見てきたんだけどいったんここで終わりにする。長すぎだし書いていて疲れた。

気が向いたら続きを書こうと思う。