願蛇無像参拝

俺はオタク的気質を持ってはいるんだがオタクになりきれなかったって経緯がある。ガンダム全盛期の頃、テクノポップ共産主義*1に傾倒していた俺はパティリオティズムの匂いがするこのアニメには否定的な見方をしていた。その洗礼を敢えて避けてきたお陰でオタクとして中途半端な大人になってしまったと自己分析している。

ガンダムというのは俺以外の俺の世代とかそれよりやや下ぐらいの人たちにとって神話に等しいぐらいの訴求力があった。オリンポスの神々を見るような、或いはアマテラスオオカミノミコトを見るような視線でガンダムシャアザクを見ていたと思う。そんな視線が結実してお台場にガンダム像が出来た。これは仏像やご神体に近い。ガンダムが宗教の域までに昇華したのではないか。

俺は異教の徒でありながらもガンダム像を見に行った。その像の出来映えを見に行くのと、その像に集まる信徒たちの様子を見るのと二通りの意味で。信者たちはご神体の前で列を成して神妙に待っていた。俺はその列の外側をぐるりと回って見た。信者たちは手を合わせたりとかって共通のポーズを取ることはなかったけどガンダムという神話の中でその位置づけが明確になっていれば一斉にそれに倣うのではないかと思えた。神体の周りには屋台が並びちょっとしたハレの空間になっているのも神社仏閣に等しい。

さて、このガンダム像はここで公開されるのは08/31までとのことだが、信者たちはそれが解体されたりすることは許さないだろう。きっと何処かに奉られるのだ。奉られた場所が何もない田舎だったりするとそこに門前町が形成されることが予想される。ご神体にちなんだ「ガンダムまんじゅう」やら「ガンダム焼き」やらが売られるのだ。それもまたちょっと宗教っぽくて面白いのでそうなったらまた俺は見に行くと思う。

多分ありふれたアングル。

ガンダム像は海を背にして建っているのだが、この向きは信者たちを迎え入れるには適している。けど、ビルとかをバックにした方が巨大ロボっぽいって思っちゃう俺はガンダムをよく知らずにマジンガーZあたりと混同しているのだと思う。

ご神体と信者たち。

ご神体の周りの屋台の様子。

*1:どんな組み合わせだよ