シオンの丘へ

一般的にはあまり知られていないが坂道を自転車で登るという奇妙な習性を持つ信者たちの聖地が神奈川県にある。ヤビツ峠という。別名、自転車乗りのシオンの丘。一心不乱に漕ぎ続ける苦行のみにより到達できる聖地である。

って事で行ってきました。

実はちょっと前、ヤビツ峠の近隣で仕事の用事があったので車で登って下見してきたのだ。自分が自転車を漕いでいるところをイメージしながら。ブラインドカーブを抜けるたびに現れる新たな坂道に「ぷぎゃー」とか「ちょwwwwおまwwww」とか心の中で突っ込んでみた。とてもこの坂道を越えられるとは思えなかった。ここに挑戦するのは当分先かなと。平日の昼間だったんだけどこの坂を登る馬鹿どもが何人かいた。

その前日、大垂水峠に行ったんだけど意外にすんなり超えられた。俺いけてるじゃん、こんな坂道何でもないじゃん、これだったらシオンの丘ヤビツ峠もいけそうじゃん。って事で調子に乗って行ってみたのだ。

webで調べるとヤビツに車で行くのは伊勢原運動公園ってところに停めると良いらしい。行ってみて判ったんだけどここの駐車場は無料だ。ヤビツまでの距離も10kmってところでアップには丁度いいかも。けど、伊勢原運動公園からヤビツ峠に行くには善波トンネルを通らなければならない。そこがちょっとした難所でそこで疲れちゃうと勿体ないってのもある。でも他の道も知らないのでしょうがない。

善波トンネルに至る道を登ってる最中もそこそこキツイ。こんなんでヤビツ登れるんだろうか。近づくにつれて恐怖に近い不安が迫ってくる。自転車に乗っていてこんな気分になったのは初めてだ。トンネルを抜けて少し下るとヤビツ峠の入り口、名古木(ながぬき)の交差点に至る。ここから戦闘開始だ。ここまで来たらしょうがない。登るか。一応、タイムを計るため現在時刻を確認し、距離もチェックしておく。

名古木の交差点にてサイコンの写真を撮る。この写真を撮ってから峠に着くまで地面に足を付くまいと決意する。よって峠までの写真は無い。峠の手前で撮ったら負けだ。


負けませんでした。峠に到着。鳥居から先がキツイとか蓑毛から先がキツイとか色々言われてるようだけどその2カ所にきつい坂があるってだけで勾配自体はあまり変化無く続く。しかし兎に角長い。ギアの一番軽いところを使うのは初めてだ。それが延々と続いた。暑くないんだけど汗がガンガン流れる。トップチューブに汗がポタポタ垂れてダウンチューブに滴るほどだ。距離が判っていたのでもうそろそろとかは判ってはいたのだが峠はいつもいきなり訪れる。


距離はぴったり11.8キロ。タイムは65分。かなり遅い。実際には信号待ちと狭いところでバスとすれ違うところでちょっとだけ足を付いたけど休憩無しで登り切れた。遅いけど。偉いぞ俺。


その後、峠を通り抜けそのまま下る。登り側(所謂表ヤビツ)と比べると下り(裏ヤビツ)は舗装が悪いけどその代わりに渓流が綺麗だ。何の前触れもなく滝があったりする。こういうところに自転車で来れるってのは良いものだ。


ヤビツ峠を下り宮ヶ瀬湖に至る。湖面は綺麗だけど緑色が強くて藻が出てるような色。


宮ヶ瀬湖周辺はいろんな橋がある。

今回は距離が短かったけどなんて言っても高低差がしんどかった。こんな坂道を自転車で登るなんて馬鹿でしかないって今まで思ってたけどようやく馬鹿の末席に加えて貰えたようで嬉しい。良いトライアルになった。綺麗なところを走れたのも気持ちよかった。坂道に関してはかなり満腹感。暫くは平地で良いや。