ビッグバンドジャズという絶滅危惧種

日本のビッグバンドとして唯一にして*1最大の「原信夫とシャープス&フラッツ」が解散するらしい。具体的に解散って言葉は聞いてないけどリーダーの原信夫氏が引退とのことだ。解散と行って差し支えないだろう。

原信夫とシャープス&フラッツ ファイナルコンサート 2008-09

原信夫とシャープスアンドフラッツ

上記リンク先にもあるけどシャープスアンドフラッツの売りはアレンジを重視して常にオリジナリティある音を追求しているところだろう。そしてその音が今なお進化していると実感できるところが凄い。


これは1995年の演奏で今から13年も前だけど長い歴史の中では終盤と言っていい時期だ。それなのに今、俺の手元に届いた最新の音源はこれよりもずっと充実した内容になってる。

LAST FOREVER Tokyo Bunka Kaikan 11.02.2008 [SACD]

この繋がりでビッグバンドジャズの音を色々聴く比べるべくnapsterで探してみて辿り着いたのがこのバンドだ。
Gary Urwin Jazz Orchestra
これも凄くかっこいいし最新のアルバムが最新の音になってるって実感できるって事はシャープスアンドフラッツみたいに求道的に取り組んでいる証拠だろう。このサイトは試聴ファイルが豊富でしっかりしているんだけどファイルの置き場所が丸わかりなので勝手に俺の方でプレイリストを作ってみた。こんなことして良いのかね。

playlists
winamp / wmp / real player

ビッグバンドジャズの魅力はアレンジの自由度の高さにあると思う。楽器が多い分、制約が少ない。ジャズ特有のテンションの効いたアンサンブルを味わえる。そして、人間がやる分、心地よい揺らぎがある。そこにソリストの個性が重なってくる。電子音に慣れきった俺の耳には新鮮だ。

逆に難しさは単純にコストだろう。演奏の場を提供する側としては人数が多いと言うだけで設営にもギャラにもコストをかけなければならない。ギャラとかはそれでも限られているから頭割りすると少なくなっちゃう。それでも70年代頃はスタジオミュージシャンと兼業すればバンドマンでも食っていけたんだろうけど今はスタジオミュージシャンの仕事が激減してる。シンセサイザーシーケンサーのせいだ。音楽産業がコンピューター化しているから演奏家の出番が無いのだ。シンセにどっぷり浸かってる俺が言うのも皮肉なもんだけど。


これは偶然見つけたやや微笑ましい動画。若い演奏家とベテランの共演だ。若い演奏家はアンサンブルでは問題ないんだけどソロになると途端にぎこちない。ぎこちないと思っていたら急にベテランのソリストがカッコイイのを聴かせてくれるというギャップが面白い。特にピアノソロが超カッコイイ。エレピじゃなくて生ピの方。


もういっちょついで。ソリッドブラスがyoutubeに上がってたので貼ってみる。ビッグバンドとは言えないけどジャズのブラスアンサンブルとしては超一級品。それにドラムがポンタ大先生だ。

*1:とか言うと宮間利之とニューハードがあるじゃないかと言われそうhttp://www.jck.net/newherd/