右手その後のその後


右手その後
またこけた

俺が通っている医者はわりと大規模な整形外科の単科病院なんだけど行くたびに担当医が違う。んで、微妙に違うことを言う。三人医者がいて40代ぐらいの女医、30代ぐらいの若い奴、それと昨日診て貰った50代ぐらいの医者だ。

女医は対話主義者、30代は原理主義者、50代は自由主義者ってところか。最初に診て貰った女医は俺が「こんな物(添え木)で固定されたらタイプできない。固定しないでくれ」って言ったら少し困った顔をして「慎重にするのであればタイプするときだけ外して良いですよ」って言ってた。風呂の時も外して良いそうだ。実際、タイプする度に外したり付けたりは面倒なので付けたまま工夫してタイプしたけど。三角巾で吊られたけどそれはやってらんねえって思い5分で外した。次の診療時に対話主義者は三角巾の事は何も言わなかった。

30代の原理主義者は風呂の時に包帯と添え木を外すなんてとんでもない。パソコンのタイプも腕を捻ることになるから避けて下さい。左手だけでするべきです、とか言う。それに三角巾はどうしました?付けていた方が良いですよ、私の言うこと聞かないと治るのが遅くなりますよ、後遺症も残りますよ、と脅す。

んで、昨日診て貰ったのが初めてあった自由主義者だ。もうだいぶ良くなったので添え木は外しましょうという。え?先週の原理主義者から一週間しか経ってないじゃん、何この変化。

添え木は原理主義者の言うとおりになんかしてられないので風呂の時は外してる。外すと痛みを感じるし捻ったらどうしようとか思うとかなり怖い。おっかなびっくり外して風呂に入っていたのにいきなり外して良いですよって言われると面食らう。医者が続けて言う。「外すの怖かったら付けていても良いですけどここまでくっついてしまえばドンって手をついたりしない限り外れたり変にくっついたりはしませんから。出来るだけ動かした方がリハビリにもなります。」とのこと。現金なもので動かして良いと言われると怖さが消えて無性に動かしたくなる。

んで、添え木を外して肘に包帯を巻くだけになった。今までの「チョキタイピング」ではなく普通にタッチタイプできるようになった。それが何よりでかい。右手で箸を使えるようになった。けど、食べ物をそのまま手で口まで運べない。食事はまだ不細工なままか。昨日の晩飯はおでん、キムチとイカの和え物、ボークと野菜のソテー。箸だけで食えるメニューだけどフォークと箸を兼用して食べた。それと上着に袖を通せなかったのが出来るようになった。嬉しい。

肘はまっすぐに曲げ伸ばしするだけだと結構平気。ただし捻ると痛い。ワッキーの芝刈り機の芸は今の俺には絶対無理な動作だ。あと、きちんとグーが出来ない。握力ゼロな感じ。それと、財布から金を出したりしまったりってのがかなりしんどい。特に小銭。今まで添え木をしていたからレジでモタモタしても怪我だからしょうがないって見てくれただろうけど今は包帯だけだから目立たないし上着着ちゃえばわかんないし。だからレジで早くしろよおっさんとか思われるのは必至。

段々回復するだろうし回復が具体的に予見できるようになった気がする。だいぶ気が楽になった。写真は約一ヶ月俺の肘を固定していた「添え木」一応持ち帰ったけど多分、もう使うことはないだろう。