原発容認派より一言(後編)

原発容認派より一言(前編) - 湯=気/日+記

化石燃料はあと50年とか100年とか書いたけどこれは現在の消費ペースが持続したときの話だ。日米欧などの先進国は確かに節電省エネによってエネルギー消費を抑制することができるけど、BRICs諸国のことを考えるとそれは無理だ。今から爆発的にエネルギー消費が増える地域を地球上で抱えているのだ。エネルギー問題はワールドワイドに考えなければならない。石油等はあと30年ぐらいってみたほうがいいのではないか。我々が省エネしてそれで世界が救えるなんて挟視野で自分勝手すぎる。

風力や太陽光などの自然エネルギーはどうか。
とにかく効率が悪い。安定性がない。今日は晴れてたから電気使えるけど次の日は無理とか。勿論、いろいろな応用や解決策はあるので研究テーマとして持続していく必要性はあるが直ちに原発の代替になるようなことは無い。原発は安定出力が強みだ。

潮力発電・波力発電は環境保護の観点から難しそう。海流力発電は可能性はあるものの全くの未知数だ。地熱発電は日本においては可能性はあるものの世界をエネルギー危機から救えると思えない。なんせ日本人は温泉好きなので温泉地と競合する。高温岩体発電やマグマ発電等には将来的には期待したいが実績が殆ど無いしまだ先の話になりそうだ。

次に今時の原発がどうなっているかを紹介する。

原子力事業部 原子力を考える 模型で学ぶ原子力発電 / 動画

日本で新設される主流は加圧水型で現在のような沸騰水型ではない。沸騰水型原子炉は炉心を冷やした水が蒸気となって直接タービンに向かうので放射性物質漏洩のリスクがが高い。加圧水型は格納庫内で冷却水が循環するので比較的安全と言われる。

さらに今の炉は制御棒が上から出てくる。沸騰水型は下からせり上がる。緊急停止字、動力を使って制御棒を使わなくてはいけないのと上から自重で落下するのでは後者のほうが安全が高いのは言うまでもない。

今回、冷却水を上から注入するのに大変な苦労をしているけどこれも今の炉では問題になる可能性は少ない。もともと緊急用の冷却水を格納庫の上部に持っているのだ。

今の炉は大きくこの二点が違う。

最後に未来の炉がどうなるか。
池田信夫 blog : 原子炉のイノベーション - ライブドアブログ

池田信夫氏のブログで最新型、第四世代の小型モジュール原子炉が紹介されている。この中でも触れられてるのが進行波炉だ。
進行波炉 - Wikipedia

進行波炉ビル・ゲイツ氏がオーナーを務めるテラパワー社が開発を進めている。これもかなり小型になりそう。

原子炉は小型化することが今後の鍵となると思う。小型になれば制御しやすい。炉の高さが高すぎて水が届かないなんて間抜けなことにもなりにくい。高速増殖炉みたいな重厚長大な方向性よりも可能性が高いと思われる。

日本は石油危機で原子力に目覚めこれに国力を注入した。結果、様々な利権が絡む複雑な体制になってしまった。そこは一端解体して仕切り直すべきだ。だが、石油危機は実は回避出来ていない。原油価格は上がり続ける。次に需給バランスが崩れたときはもっと酷いことになるだろう。そのために原子力を始めた。当初は「人類には扱うことが出来ない技術」なんて言われたがあれから何年経ったんだ。まだまだ技術的なイノベーションが期待できる分野だ。

あれがダメだ、これがダメだ、危険だって言うのではなくて解決策を考えよ。日本だけだったら節電で乗りきれるかも知れないが世界はそうは行かない。そして日本と世界は繋がってるのだ。

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これをのんびりと書いている間にも原子力に対する批判は日増しに強くなっている。こりゃ、世界的に原子力は無理なんじゃないかって思えてきた。いろんな意味で世界はエネルギー政策に行き詰まりそうだ。