漁業のこととか石油のこととかだらだら

今、我々が食べている殆どの食品は天然自然の物ではない。野菜は畑で栽培された物が主だし、食肉として用いられる牛も豚も鶏も人によって育てられたものを食べている。例外は魚でこれは一部養殖があるものの天然物が主流だ。

一方、原油価格は需要予測が逼迫していることからも元の価格水準に戻ることはないだろう。もっと上がるかも知れない。となると漁業が立ち行きづらくなるのは必至で今はその従事者たちが悲鳴を上げているけど早々に養殖業等に鞍替えするのが良かろうとか思う。長年慣れ親しんだ仕事を手放すのは辛かろうが恐らく近いうちに成り立たなくなる。

地球全体の事というか環境面とかで考えると石油を垂れ流すようにして海洋資源を漁るより管理された環境で養殖をする方が環境負荷が低いのではないか。

我々日本人は実に豊かな魚を食べる文化を持っている。しかしながら養殖になってしまうとこの文化は失われると予想できる。市場に出回っている多様な魚は自然の多様性によって賄われているのだろう。養殖になったらこの多様性が保たれるというのは考えづらいことだ。

電動の船舶とか出来れば状況が変わるかも知れないが抵抗が大きい水の中を進む船舶に電気動力の導入は自動車の何倍も難しい筈だ。*1

こんな風な産業構造の変化は漁業にかかわらずあちこちで発生するのだろう。早速自動車業界に影響が出つつある。
GM、追加リストラ 配当停止や人件費削減

【ニューヨーク=武類雅典】経営再建中の米ゼネラル・モーターズ(GM)は15日、財務体質の改善を狙った追加リストラ策を発表した。ホワイトカラー(事務職)の人件費削減など合理化に加え、配当も取りやめる。資産売却も進め、2009年にかけて手元資金を約150億ドル(約1兆6000億円)積み増す。米景気減速とガソリン高で販売が急減、6月に4工場休止を柱とするリストラ策を発表したが、資金繰り懸念が浮上するなか追加策を迫られた。
追加リストラは人件費圧縮や設備投資抑制などによる約100億ドルの現金支出の削減、資産売却などを通じた資金調達が柱。ホワイトカラーの人件費を20%削減し、経営陣の報酬も大幅に減らす。

トヨタ、米生産体制見直し 大型車5万台減産

【ニューヨーク10日共同】トヨタ自動車は10日、ガソリン価格高騰による米国での販売減を受け、建設を進めている米ミシシッピ工場の生産車種を大型車からハイブリッド車プリウス」に変更するなど、北米の生産体制を見直す、と発表した。大型車工場の一部休止も実施し、減産規模は約5万台になるという。
米国でのハイブリッド車生産はカムリに続いて2車種目で、北米でのプリウス生産は初めて。ガソリン高で需要が減少している大型車から、燃費が良く販売が好調な中小型車へのシフトを急ぐ。

今後、数十年はエネルギー需要が増加して各国で取り合いになるのだろうか。そのときに保護貿易政策とか取るとまた戦火の種になりそうな予想も出来る。日本に於いては尖閣諸島北方領土を巡る問題が激化するのだろうか。

食糧問題とかもそうだけど保護貿易政策を採れば資源の取り合いになり、自由貿易主義を採れば果てしない競争の世界に生産者が晒されることになる。世界はどちらに舵を取るのだろうか。この辺、全く予想が出来ない。世界は安価な石油によって支えられてきたバランスを失うのだが、その度に住みづらい世の中になるような気がしてならない。

*1:電動船外機(手漕ぎボートみたいな奴に外付けする奴)は実用化されているようだけど航続距離が小型ボート程度で30kmらしい。