自転車で車にぶつかった事の記録

二年前にも人の飛び出しを避けきれなくて落車、骨折という事故をしているけど今回は車にぶつかった。自転車乗りのために事故の状況と保険会社との交渉を書く。
事故関係者に特定されないよう細かい内容は伏せる。特定しても対して困ることはないんだけど。
去年、廃業して今年から新規ビジネスを立ち上げている時点での特殊性、ロードバイクと車の事故という意味で記録を残すだけの価値はあると思う。


事故の内容。

四月下旬のこと。時刻は夜8時半頃。
こちらは長い下り坂の優先道路スピードをセーブしながら走行中。下り坂はブレーキが効きづらいので慎重に走るようにしている。交差点は優先道路のみ信号があり脇道からの車は一時停止して交差点に進入する。信号は優先道路をまたがる横断歩道のための信号になっている。
信号は青だった。交差点に車が止まっているのは見えていた。止まっているのでそのまま前を通り過ぎようとした。俺の直前でするすると車が出てきて避けきれずに衝突した。車の右側フェンダーの先っぽにぶつかった。俺は空中に放り出され一回転して落下した。途中でヘルメットが地面にぶつかりヘルメットがずれて顔面をこすった。

怪我の内容

事故直後、一番痛かったのは両膝だった。一回転した後、両膝から地面に落ちている。厚手のカーゴパンツを履いていた。それが破けずにズボンの内側で皮膚がすり切れていた。結果的に一番重傷だったのは右手の小指だ。頭が地面に触れたとき、頭をかばって手をついたらしい。小指の根本にひびが入る程度の骨折をしていた。頭が地面に触れたときに首にもストレスがかかった。けど首はたまに痛む程度だ。

警察が来た。

加害者の女性が車から降りてきてしきりに謝っている。こちらは痛みと衝撃で暫く口もきけないし身体も動かない。地面に暫くうずくまっていた。通りすがりの人が肩を貸してくれて路肩に移動した。暫く「大丈夫ですか?」と何度も声をかけてくれた人がいた。御礼も充分に出来なかったけどその人達には感謝したい。一番痛かったのが膝だったが関節を痛めたわけではなく強く打撲しているだけだと事故直後にも自覚していた。なので被害者や周りの人が救急車を呼ぼうかという話に対しては正直微妙に感じた。けど、しっかり検査した方が良いだろう。救急車を呼ぶことに同意し、その間に警察も来た。
簡単に事情を説明した。警察が来たとき自転車のヘッドライトが付きっぱなしになっていて無灯火ではないことが証明出来たのは少し良かったかも。

救急車で病院へ

救急車が来た頃には少し落ち着いていてほぼ自力で救急車に乗り込む。相前後して自宅に電話。救急車で病院に行くけど大したことないから来なくて良いよと妻に伝えた。病院はすぐ近くの救急病院に外科医がいなくて少し離れたところまで行った。病院に着くまで事故から二時間ぐらい経過していたと思う。救急車の話を聞くたびに意外なスローアクションに驚くけど今回も例外じゃなかった。救急隊員と自転車の話した。「良い自転車ですね。トレックの何ですか?ほほー。僕もトレックに乗ってるんです。僕のより良いですね」なんて話。この間、twitterに「車にひかれた。救急車なう」とツイートした。こんなツイート滅多に出来ない。

救急処置

病院で膝と右手をレントゲンで見てもらう。膝の骨は異常なしだと「思う」とのこと。
救急の当直医なんてそりゃ専門じゃないんだろうけど随分と頼りない。こっちも軽口を叩きながら治療を受けてるので相手もそれなりに冗談で返してくる。「○○病院に救急車で運ばれたけどゆるーい病院だったよ。医者も看護師も。」ってツイートしようか?って言ったら「勘弁して下さいよー」って言われた。「命がかかっているような急患の時はテンション高くしてやってますよ」だって。
夜、12時頃、病院を解放されて入院はせずタクシーにて帰宅。

翌日の往診

診断は左手小指骨折、膝の挫滅、警部挫滅とのこと。首の骨も少し歪んでいるらしい。30日程度の加療という診断。治療費は薬代も含め病院と薬局に保険会社が直接支払う手続きが取られていた。

被害者供述

当日は夜お遅かったので後日、警察に出頭して被害者供述を行った。十分な保障をしていただければ加害者の処罰は望みませんと供述した。加害者の感情を処罰に勘案するというのは、やっぱ刑罰には公的復習の意味合いが認められているんだなと改めて感じた。
あと、警察の奴等の生産性の低さに唖然とした。手でチンタラ書いてるんじゃねえよ、ワープロでいいだろ? 所定のフォームに必要箇所を入力して、その入力にも定型文を予め用意しておけば10分ぐらいで終わりそう。そんなんを30分以上かけてやっていた。

保険屋、第一報

事故直後から加害者に「保険会社に早く連絡するように言ってください」と話してあった。事故が東京都内だったので東京の営業所からまず一報、住所は横浜だと伝えると横浜の営業所からそのご連絡があった。結局横浜の営業所の人間とまともに話ができたのは事故後三日後ぐらい。これは加害者の連絡も悪いと思うが、保険会社の連携の悪さもちょっと感じた。
第一報で伝えたこと。

  1. 起業したばかりなので収入の証明ができない、なにか補償のスキームを考えて欲しい
  2. 自転車のフレームにカーボンが使われているのでもう乗ることが出来ない、減価償却を考慮するのではなく、現状と同じように道具として信頼に足る自転車を使えるようにして欲しい。
  3. 現状、こちらの過失はないと思われる。過失割合による補償の減免がないようにして欲しい。

保険屋の一時回答はこうだった。

  1. 去年の収入が証明出来ればその収入をベースに考えましょう
  2. 自転車の補償については現状ではご要望にお答えできないとしか言えません
  3. 過失割合については聞いているところではそのとおりだと思いますが警察から何も聞いてないのでわかりません。

とのことだった。

休業補償について

原則直近の三ヶ月の収入で評価される。ちゃんと計算してないが、その期間の収入って意味で言えばマイナスになる。後述するが去年の収入でって方法は本当は無理らしい。じゃあ、起業したてで今まで投資した金額とか積み上げればいいのか。かかった金額を補償しろというのも無理。受け取れるであろう収入が消滅したという方法でないとだめなんだと。起業したてで一人で商売していると正直そんなん無理だ。ひとりで書いた事業計画書でも提出しろということか。
また、サラリーマンの場合、休業証明が会社からでるがこちらも自分で出さないとならないというのがある。まあ、好き放題書けるわけだが。
どのような決定プロセスが保険会社で為されたかわからないけど結果的には去年の収入ベースでって話になった。去年の収入は約2/3(年半ばで廃業している)ので満足な金額ではないがまあまあの日額にはなった。その日額に加療期間である30日程度をかけた金額で妥結した。
去年の収入で休業補償ってのは相当無理筋な話だったようで取引のあった弁護士もそんな話は聞いたことがないという。その話を通したということは相当の交渉能力だ、私の仕事手伝ってくださいって冗談交じりに言われた。

自転車の保証について

俺の自転車は少し前に流行っていたバックカーボンという形式だ。シートステイがカーボン製で他のフレームはアルミとなってる。フロントフォークは勿論、カーボンだ。カーボンが使われている自転車は事故など、通常と違う衝撃がかかった場合、保証ができないという。それを盾にして全額補償を要求した。
使用年数に応じて減価償却をした金額でって言われたのだが、それに対しては「今の自転車は日常の足として数十キロ以上を移動するのに信頼できる道具として手入れをして部品のアップグレードなどもやっている。その使用価値を保証してくれ、どんなにお金をつぎ込んでも簡単に換価できる道具ではないことを理解し欲しい」と説明した。
自転車の購入費用と消耗品以外の部品(タイヤ、チェーン)を交換した費用として30万程度を要求した。回答はそれを少し下回る金額だった。ごねてもしょうがないのでそれで納得することにした。

首の痛みについて

打撲した膝と骨折した右小指はどんどんと回復したけど首の痛みが全然良くならない。それに伴い左手に痺れを感じる。MRIを取ってもらったが頸部挫滅による神経の傷みは認められないとのこと。今は35日程度の骨折+打撲の加療期間に対する損害賠償金について話し合おうとしているところ。
首の痛みが全く取れないが後遺症認定をして貰う方向に動くか加療を継続するか今、様子見しているところ。